緒方貞子さん従三位(じゅさんみ)叙位に想う

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官報(抜粋)

令和元年(2019年)11月28日付け官報で緒方貞子さんの名前を発見しました。

  緒方貞子 従三位(じゅさんみ)に叙する  

と書かれています。

従三位」とは昔の官吏の序列の一つですが、飛鳥・奈良時代に始まった制度が現代でも継承されているのには驚きます。

「叙位」に関する法律は無く、大正時代に制定された勅令が今でも効力を持っています。

 位階令

第五条 有位者ハ其ノ位ニ相当スル礼遇ヲ享ク

 「其ノ位ニ相当スル礼遇」というのが具体的にどういう特権なのか位階令に規定はありませんが政府の非公開の内規には書かれているのかもしれません。

 

位階令第五条は現在の日本国憲法第14条第3項に違反しており無効です。

 日本国憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

○2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

○3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

故人である緒方さんの業績を知る人が、個人的に最大級の礼遇をするのは自由ですが、憲法に違反して法令で強制するのはオカシイと思います。

 

叙位は栄典の一種だと思いますが、叙勲については、内閣府のホームページで受賞者の業績の概要を見る事ができますが、叙位については(国民の大多数が見ない)官報への氏名の記載のみです。官庁の人事異動と同じ扱いなのは、没後に授与されるものだとしても栄典にしては寂しい気がします‥。

 

毎年、新しい法律が制定されて、それに伴い新しい費用が発生します。無くても誰も困らない法令は廃止して行きましょう。

位階令を廃止する政令(案)

位階令(大正十五年勅令第三百二十五号)を廃止する。