刑法修正-3(目的に関わらず罪とする)

  • 犯行目的別の減刑および免除の廃止
    犯行の目的は、心の中に留まっている限り本人の供述以外では外部からは証明できず、それによる減刑及び免除は非合理的です。

この観点で刑法を順に見直します。 

刑法(修正案)
(内乱)
第77条 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使しその他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として 暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。・・以下略
(外国国章損壊等)
第92条 外国 に対して侮辱を加える目的で、その国 の国旗その他の国章を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。・・以下略
(私戦予備及び陰謀)
第93条 外国に対して私的 戦闘行為 をする目的で、そ の予備又は陰謀をした者は、三月以上五年以下の禁錮に処する。ただし、自首した者は、その刑を免除する。
強制執行妨害目的 財産損壊等)
第96条の二 強制執行を妨害する目的で、 次の各号のいずれかに該当する行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。・・以下略
強制執行行為妨害等)
第96条の三 偽計又は威力を用いて、立入り、占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害した者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 強制執行の申立てをさせず又はその申立てを取り下げさせる目的で、 申立権者又はその代理人に対して暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。
(加重封印等破棄等)
第96条の五 報酬を得、又は得させる目的で、人の債務に関して、第九十六条から前条までの罪を犯した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(公契約関係競売等妨害)
第96条の六 偽計又は威力を用いて、公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者は、三年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で 談合した者も、前項と同様とする。
(逃走援助)
第100条 法令により拘禁された者 を逃走させる目的で、 器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 前項において の目的で、暴行又は脅迫をした者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(予備)
第113条 第百八条又は第百九条第一項の罪 を犯す目的で、そ の予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
(あへん煙輸入等)
第136条 あへん煙を輸入し、製造し、販売し、又は 販売の目的で 使用者でないのに所持した者は、六月以上七年以下の懲役に処する。
(あへん煙吸食器具輸入等)
第137条 あへん煙を吸食する器具を輸入し、製造し、販売し、又は 販売の目的で 使用者でないのに所持した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
(通貨偽造及び行使等)
第148条 行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
外国通貨偽造及び行使等)
第149条 行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
(偽造通貨等収得)
第150条 行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、三年以下の懲役に処する。
(収得後知情行使等)
第152条 貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。
(通貨偽造等準備)
第153条 貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、器械又は原料を準備した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
詔書偽造等)
第154条 行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。
第155条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。・・以下略
(虚偽公文書作成等)
第156条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。
第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。・・以下略
(電磁的記録不正作出及び供用)
第161条の二 人の 事務処理を誤らせる目的で、その 事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第一項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。
(有価証券偽造等)
第162条 行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
(偽造有価証券行使等)
第163 偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。
(支払用カード電磁的記録不正作出等)
第163条の二 人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
2 不正に作られた前項の電磁的記録を、同項の目的で、人の財産上の事務処理の用に供した者も、同項と同様とする。
3 不正に作られた第一項の電磁的記録をその構成部分とするカードを、同項の目的で、譲り渡し、貸し渡し、又は輸入した者も、同項と同様とする。
(不正電磁的記録カード所持)
第163条の三 前条第一項の目的で、同条第三項のカードを所持した者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(支払用カード電磁的記録不正作出準備)
第163条の四 第百六十三条の二第一項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。
2 不正に取得された第百六十三条の二第一項の電磁的記録の情報を、前項の目的で保管した者も、同項と同様とする。
3 第一項の目的で、 器械又は原料を準備した者も、同項と同様とする。
(御璽偽造及び不正使用等)
第164条 行使の目的で、御璽、国璽又は御名を偽造した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 御璽、国璽若しくは御名を不正に使用し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用した者も、前項と同様とする。
(公印偽造及び不正使用等)
第165条 行使の目的で、公務所又は公務員の印章又は署名を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
2 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
(公記号偽造及び不正使用等)
第166条 行使の目的で、公務所の記号を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。
2 公務所の記号を不正に使用し、又は偽造した公務所の記号を使用した者も、前項と同様とする。
(私印偽造及び不正使用等)
第167条 行使の目的で、他人の印章又は署名を偽造した者は、三年以下の懲役に処する。
2 他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。
(不正指令電磁的記録作成等)
第168条の二 正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。・・以下略
(不正指令電磁的記録取得等)
第168条の三 正当な理由がないのに、前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
(虚偽告訴等)
第172条 人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、 虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。
(わいせつ物頒布等)
第175条 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 削除 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
「有償で頒布する目的」を条文から削除すると私的な所有も該当し、刑として問題なので第2項は削除する。
 
(淫行勧誘)
第182条 削除 営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘してかん 淫させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

営利目的を外すと、勧誘されたにせよ本人の意思で姦淫するならば罪ではない。

 

殺人予備)
第201条 第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
(凶器準備集合及び結集)
第208条の二 二人以上の者が他人の生命、身体又は財産に対し共同して害を加える目的で集合した場合において、凶器を準備して又はその準備があることを知って集合した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 前項の場合において、凶器を準備してした者又はその準備があることを知って人を集合させた者は、三年以下の懲役に処する。

 

 刑法第33章「略取、誘拐及び人身売買の罪」を見ると愕然とします。

まるで誘拐組織や人身売買組織のロビー活動が功を奏したかのように刑罰が事細かに軽減されています。人身売買など基本的人権を著しく毀損する行為には厳罰を付しましょう。

(未成年者略取及び誘拐)
第224条 削除 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
営利目的等 略取及び誘拐)
第225条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、 人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。 一年以上十年以下の懲役に処する。
(身の代金目的略取等)
第225条の二 削除

次のケースを考えます。

「略取された20才の女性が、ある宗教法人が専有する国内の島に連れて行かれました。島での行動は渡航・通信を除き自由で、かつ営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害行為は無く、身代金要求も有りませんでした。島で要求された事は彼らの神に祈る事だけでした。20年後に別件の捜査で警察が上陸、女性が略取を申告して保護されました。」

このケースは刑法225条の罪にはなリません。同220条の逮捕監禁の罪に該当しても最高でも7年の懲役と軽いものです。

目的に関係なく本人の意思に反して連れ去る事は重罪だと思います。

洗脳が進み島で入信してしまったら上記ケースは犯罪ではなく立派な布教活動例になるのかもしれません(^o^)。

被害者が未成年かどうかで略取誘拐の規定が別ですが、成人に対しても目的は問わない事としたので一つの条文にまとめ、刑罰は身の代金目的略取等と合わせ厳罰としました。

(所在国外移送目的略取及び誘拐)
226 削除 
(人身売買)
226条の二 人を買い受けた者及び人を売り渡した者は、無期又は三年以上の懲役に処する。 三月以上五年以下の懲役に処する。 なお無償による譲渡も同様とする。
2〜5 削除
(被略取者等所在国外移送)
226条の三 削除
(被略取者引渡し等)
第227条 第224条、 第225条又は前三条の罪を犯した者を幇助する目的で、 略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。 三月以上五年以下の懲役に処する。
2〜4 削除

 

(公共の利害に関する場合の特例)
第230条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その行為により公益を図れる 目的が専ら公益を図ることにあった と認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2〜3 略 
(強盗予備)
第237条 強盗 の罪を犯す目的で、そ の予備をした者は、二年以下の懲役に処する。
(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、 その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。