刑法修正-2(故意でなくても罰する)各論

上記ブログで述べたように、凶悪犯罪に対して故意と過失との区別を止める観点で刑法を順に見直します。

(現住建造物等放火)
第108条 放火及び失火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
(非現住建造物等放火)
第109条 放火及び失火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
(建造物等以外放火)
第110条 放火及び失火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
(失火)
第116条 削除 失火により、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を焼損した者は、五十万円以下の罰金に処する。
2 削除  失火により、第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
例えば寝煙草で木造アパートを全焼させた場合、誰も死傷しなかったとしても50万円以下の罰金では刑罰が軽すぎると思います。
 
(激発物破裂)
第117条 火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
2 削除 前項の行為が過失によるときは、失火の例による。
(業務上失火等)
第117条の二 削除  第百十六条又は前条第一項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、三年以下の禁錮又は百五十万円以下の罰金に処する。
(ガス漏出等及び同致死傷)
第118条 ガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ、又は遮断し、よって人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2 ガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ、又は遮断し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(過失建造物等浸害)

第122条 削除 過失により出水させて、第百十九条に規定する物を浸害した者又は第百二十条に規定する物を浸害し、よって公共の危険を生じさせた者は、二十万円以下の罰金に処する。

(往来妨害及び同致死傷)
第124条 陸路、水路又は橋を損壊し、又は閉そく して往来の妨害を生じさせた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(過失往来危険)
第129条 削除 過失により、汽車、電車若しくは艦船の往来の危険を生じさせ、又は汽車若しくは電車を転覆させ、若しくは破壊し、若しくは艦船を転覆させ、沈没させ、若しくは破壊した者は、三十万円以下の罰金に処する。
2 削除 その業務に従事する者が前項の罪を犯したときは、三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
(浄水汚染等致死傷)
第145条 前三条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(強制わいせつ等致死傷)
第181条 第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は無期又は三年以上の懲役に処する。
2 第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は無期又は六年以上の懲役に処する。
(特別公務員職権濫用等致死傷)
第196条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

(殺人)
第199条 人を死亡させた者は、殺した者は、 殺人の罪とし、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。ただし医療行為に際して、本人の同意または本人の意識の無い場合は家族の同意のある場合は、これを罰しない。
2 前項ただし書きにおいて、交通事故等により緊急に医療行為を行う必要がある場合は、本人または家族の同意が無くても、これを罰しない。
 第1項ただし書きおよび前項において、明らかな医療過誤の場合は、これを罰する。

 過失致死および業務上過失致死傷の罪を殺人の罪としたため、医療行為に関する免責を設ける。

 

(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 ただし医療行為に際して、本人の同意または本人の意識の無い場合は家族の同意のある場合は、これを罰しない。
2 前項ただし書きにおいて、交通事故等により緊急に医療行為を行う必要がある場合は、本人または家族の同意が無くても、これを罰しない。
 第1項ただし書きおよび前項において、明らかな医療過誤の場合は、これを罰する。

  過失傷害の罪を障害の罪としたため、医療行為に関する免責を設ける。

 

傷害致死は殺人
第205条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、殺人の罪とする。 三年以上の有期懲役に処する。

 結果的に人を死亡させた者は殺人の罪とする。

 

(過失傷害)
第209条 削除 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
(過失致死)
第210条 削除 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。
(業務上過失致死傷等)
第211条 削除  業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 過失傷害の罪を障害の罪とし、過失致死および業務上過失致死傷等を殺人の罪とする。

 

(不同意堕胎致死傷)
第216条 前条の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(遺棄等致死傷)
第219条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(逮捕等致死傷)
第221条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(建造物等損壊及び同致死傷)
第260条 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、殺人の罪又は傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。