戸籍から個籍へ
選択的夫婦別姓と同性婚の場合、婚姻届がどうなるか試しに様式を作りました。
「夫婦」が「甲乙」になり契約書のようです(^^;)。
戸籍法(現行)
第六条 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。‥以下略
戸籍筆頭者の戸籍の中に配偶者が入る現行の戸籍制度は「憲法第十四条すべて国民は、法の下に平等‥」の考え方に馴染まないものです。離婚した場合、筆頭者でない方は戸籍を異動する事になり筆頭者と戸籍上の扱いが平等ではありません。
戸籍の替わりに個人籍(個籍)を用いれば、このような不平等を解消できます。
個人籍とは本人の情報に父・母・配偶者・子を関連付けした物です。個人籍では全ての人が本人(筆頭者)となり、カップルのどちらが筆頭者になるか考える必要がありません。また配偶者が同性でも異性でも個人籍上の問題はありません。
個人籍法(案)
第一条 個人籍は、市町村の区域内に本籍を定める一個人ごとに、これを編製する。
2 戸籍に入っている者は、個人籍への異動ができる。
3 戸籍から個人籍への異動の届出があつたときは、新個人籍を編製する。この場合、戸籍からは除籍され、生まれてから個人籍への異動までの全ての戸籍の情報が個人籍に転記される。
4 個人籍を有する者の子には、新個人籍を編製する。
5 個人籍を有する者が、他の者の戸籍に入る場合、入籍と同時にその戸籍からは除籍され、個人籍はそのまま維持される。
第二条 個人籍は、本人の個人番号(マイナンバー)でこれを表示する。ここに個人番号とは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」第二条第5項に定義されるものをいう。
第三条 個人籍には、本人の個人番号の外、次の事項を記載しなければならない。
一 本人の氏名、出生の年月日及び本籍
二 個人籍を作成した原因及び年月日、戸籍から異動した場合はその戸籍の表示
三 父母の氏名及び個人番号、ここに父母とは出生届または認知届に記載の父母若しくは特別養子縁組の父母をいう
四 養父母の氏名及び個人番号
六 代理出産者の氏名及び個人番号
七 配偶者の氏名及び個人番号、ここに配偶者とは婚姻届に記載の配偶者の他、認知した子の母又は認知された子の父を含む
八 子の氏名及び個人番号、ここに子とは出生届に記載の子、認知届に記載の子、特別養子縁組の子、代理出産した子、養子及び実名で精子・卵子を提供した子をいう
十 その他法務省令で定める事項
第四条 DNA鑑定により遺伝上の親子関係が無い事が新たに判明した場合、本人又は法定代理人の届け出により以下の通り個人籍を修正する。
一 子の身分を守るため親子関係は取り消さずに、父または母は、それぞれ養父または養母とする。
二 精子・卵子の提供者またはそれらを提供された子は、それぞれを抹消する。
2 DNA鑑定により遺伝上の親子関係がある事が新たに判明した場合、本人又は法定代理人の届け出により精子・卵子の提供者及び精子・卵子を提供した子を追加または修正する。
個人籍なら多様な父母の関連付けが可能です。
男親 | 女親 | 子供 | |
出生届・認知届又は 特別養子縁組 |
父 | 母 | 子 |
養子縁組 | 養父 | 養母 | 養子 |
精子・卵子提供 | 精子提供者 | 卵子提供者 |
精子を提供した子 卵子を提供した子 |
代理出産 | − | 代理出産者 | 代理出産した子 |
精子・卵子提供者も個人籍に登録する事により遺伝的な近親婚を防止できて良いのではないかと思います。
代理出産でも母体から子へある程度遺伝情報が伝わるそうなので近親婚防止の観点からも生みの母・生みの子の登録が望ましいと思います。
また相続の際、被相続人の生まれてから死亡までの全ての戸籍を集める煩雑な作業が個人籍があれば不要になります(^o^)。