モーリシャス重油流出防止法(案)

日本の会社の子会社が所有する貨物船「わかしお」(船籍:パナマ)がモーリシャス座礁して重油を流出してしまいました(T_T)。

重油流出の日本貨物船、「真っ二つ」の恐れも モーリシャス沖 - BBCニュース

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衛星画像には「わかしお」から流出した燃料がはっきり写っている

2020年8月11日

Mauritius oil spill: Fears vessel may 'break in two' as cracks appear - BBC News

10 August 2020

BBC英語版の方ではビデオが見られます。)

 

船舶所有会社(OKIYO MARITIME CORP.)の親会社(長鋪汽船)の発表によると座礁から油流出までは以下の通りです。

当社船 座礁及び油濁発生の件 - 長鋪(ながしき)汽船株式会社

  • 7月25日19:25 モーリシャス島沖で座礁
  • 8月06日08:00 機関室右舷側の燃料タンクに亀裂が生じて燃料油が流出(日時は現地時間)

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座礁してから燃料油流出まで11日半もあったのに流出を防げなかったのが腑に落ちません。流出前に燃料油を抜き取る気が有れば不可能ではなかったのではないでしょうか?座礁で燃料油が流出する事は想定外だったのでしょうか?流出しても油の処理費用は保険で支払われるのでのんびり対応していたのでしょうか?

 

そもそもなぜ浅瀬のサンゴ礁に接近したのでしょうか?船会社のプレスリリースでも座礁までの経緯が書かれていません。外国人の船長・船員に丸投げでどういう航路を辿っているか船舶所有会社や運行委託元の会社は全く把握していないのでしょうか?

 

避けようもない巨大サイクロンがあったのならば、そんな海域に進入しなければ良いと思いますが、指定の期日までに荷を受け取る必要があったため船長が無理な判断をしたのでしょうか?

 

無理な航行を忖度させた荷主にも責任を負わせないと同様の事例は根絶できないと考えます。モーリシャス沖での重油流出の再発防止のため、以下の法律を制定しましょう。

モーリシャス重油流出防止法(案)

第一条 2020年(令和2年)に発生したモーリシャス沖での日本の船会社所有の船舶による重油流出事故に鑑み、同様の事故を防止するめに本法を制定する。

第二条 船舶による輸送を委託した者(輸送の日程を指示した者に限る。以下同じ。)は、船舶(外国船籍の船を含む。以下同じ。)を所有する者と連帯して船舶からの重油の流出に関する責任を負う。

第三条 船舶による輸送を委託した者は、船舶が座礁しない適切な位置を航行しているか省令で定める時間毎に把握しなければならない。

第四条 船舶による輸送を委託した者は、船舶が座礁した場合は、直ちに重油の流出を防止する措置(オイルフェンスの設置、重油の当該船舶からの抜き取り)を講じなければならない。


商船三井(今回の事故船を傭船し運航した会社)のホームページには以下の記載が有ります。

安全運航支援センター(SOSC)による24時間365日の支援体制

安全運航への強い決意

2006年、当社が運航する船舶において4件の重大海難事故が発生しました。事故後、徹底的な事故原因の究明を行い、2007年「船長を孤独にしない」をスローガンとし、Safety Operation Supporting Center (SOSC)を設置しました。事故の教訓を肝に銘じ、「世界最高水準の安全運航」の実現に向け、グループ役職員一丸となって取り組んでいます。

安全運航支援体制 | 商船三井

2007年から 「世界最高水準の安全運航」の実現を目指しているそうです。